
先日、父が入院している病院の病室にいると、看護師さんから
「今日は車ですか?」 と聞かれ
「はい、車です。」
「このナンバーは違いますか?」
とメモを見せられ、
「私の車のナンバーですけど…」
ちゃんと駐車場に停めて、人の迷惑になるような状態じゃないのに何だろう…??
次の看護師さんの言葉は
「車、ぶつけられちゃってます!」
驚いた私は駐車場に向かいました。ぶつけた人は逃げようと思えば逃げられるのに、私を探してくれたのだから、きっといい人に違いない…そんなことを思いながら。
駐車場に着くと、そこにいたのは "お客様サービス係"の体格の良い男性と、その陰に隠れるくらいの、腰が曲がった小さなおじいさんでした。へ~、このおじいさんがぶつけたの? というより、このおじいさん運転するの!? という驚きでした。
おじいさんは私に
「逃げようと思えば逃げられるのに、逃げなかったんだよ。俺は良心的なんだよ。たいした事ないんだから警察に言わないでよ。修理代は払うから。警察は忙しいから、こんなことで呼ばれたらきっと嫌だと思うよ。」
と慌てる様子もなく、悪びれる様子もなく、何度も言いました。いい人という感じでもないか…。私はお客様サービス係の方にお願いして、警察を呼んでもらいました。
おじいさんのことが憎いわけではありませんが、信用できるわけでもないし、車を元通りにしてもらうには、普通に警察を呼ぶべきでしょう。
警察を待っている間に、お客様サービス係の方に聞いた話では、そのおじいさんは逃げようとしていたところを、他の利用客と、料金所の方と、お客様サービス係の方に捕まえられたのだとか。「修理代5,000円払う」とも言っていたそうです。
な~んだ、そうだったんだ~。いい人じゃなかった。でも、どう見ても、バンパーの交換になるだろうし、とても5,000円で済むような状態ではないです。
程なくして警察が到着。おまわりさんとおじいさんのやり取りを聞いていて、おじいさんが92才ということがわかりました。老衰で亡くなった森繁久弥さんと、たいして変わらない! 92才でしっかりして、元気に車を運転している事実にビックリです。おじいさんは、おまわりさんにに怒られていました。
「逃げようとしたんだって!? 事故は届け出る義務があるんですよ!」と。
おじいさんは
「そうなんだ~」と言いながら、ハッハッハ~と思いっきり笑っていました。笑って誤魔化す強かな人なのかもしれない…。でも私は、その小さな顔が何とも憎めなくて…。私、被害者なのに。
処理が終わって、おじいさんが駐車場から車で出て行くところを見ていました。なんと、おじいさん、もう少しで他の車にぶつけるところでした!
ホント、危なかった。人をひかなければいいけど…という不安な気持ちになりました。
その日、おじいさんの保険屋さんと連絡を取りました。聞くところによれば、おじいさんは何度もこんなことを繰り返しているのだとか。92才という年齢から考えれば、何の不思議もありません。
これが車を運転する高齢者の実態だと思いました。全国にこのような高齢者はたくさんいらっしゃることでしょう。
元気な高齢者は、そう簡単に免許証を手放さないでしょうね。車を運転しない生活は不便ですし、運転技術が徐々に衰えて行くことには、なかなか気付かないものなのかもしれません。
高齢の運転者は2年に1度の免許更新時に、技能もチェックされるそうですが、それに合格しても、この状態です。
2年に1度の更新は、期間が長すぎませんか?
いや~、笑い事ではないです。高齢者が関わる交通事故が多発している昨今、本当に真剣に考えなければならない事だと思います。
車の運転は本当に気をつけなければなりませんね。私は何歳まで車を運転しているのだろう…初めてそんなことを考えました。